岩谷雪子 / 小方英理子 / 水田典寿の展示
酉年を迎えてはじめて襲来した最強寒波、あまりの冷え込みに息も絶え絶えでピーチクパーチク鳴いていました。いつまでウダウダしてても埒が明かないことを悟った僕は、モコモコの防寒着を身に纏い下界へと飛び出しました。
東急多摩川線の鵜の木駅から程近くにあるgallery『Hasu no hana』さんで開催されている「Dialogue in Silence 岩谷雪子/小方英理子/水田典寿」を体感して来ました。これまでに紹介された作品の吸収、消化を目的とし、より深く作家を知る為の期間であり、取扱作家を中心に各々のコンセプトの他、作品が持ち合わせている側面を新たにキュレーションし紹介されています。
甘砕きで喉元を通したものを、再び咀嚼し直し、気持ちの中により深く吸収させることが目的なのだそうです。なんだか牛の反芻のようですね。
それぞれに異なる静けさを持つ作品、その根底には重なり合うものがあるようです。自然への畏敬と生命の儚さを託した異形表現、内側に含まれたものを掻き出すように貌にする表現、自然物と人工物の狭間を模索する探求表現、一つの空間の中で共鳴し合いながらも、それぞれが確かに自立し、更には共存共栄まで成し得ていました。
今回、手にしたのは、「岩谷雪子」さんのコセンダングサと犬の毛のオブジェです。線と球体のみの単純な構成にもかかわらず、ヒシヒシと伝ってくる緊張感が溜まりません。一見して脆弱そうに見えるものでも、この世界に存在する限り弱いものはいない、そんな声が聴こえてきそうです。化学の元素図のようでもある異形は、単純に可笑しくもあり、思慮深くもありました。作家の狂気の断片が、この小さなオブジェの中に無数に散りばめられているのです。
植物のみでなく、動物にも着目し始めた頃に制作された点を踏まえてみても、作家の動向を知るうえでとても興味深い作品です。
【Dialogue in Silence 岩谷雪子 / 小方英理子 / 水田典寿】
2017年01月14日(土) ~ 29日(日)
open : 月・火・水・土・日 16時 ~ 21時
close : 木・金
入場料 : 無料
会場 : Gallery Hasu no hana
※展示室の奥側スーペースは談話&foodを楽しむコーナーになってます。
次から次へとただ流すのではなく、一度立ち止まって振り返ってみたり、しゃがんで足元を見つめ直してみたり、新たな気付きに出会えることでしょう。一人の作家のみでは成し得ないであろう空間の妙を体感できる企画です。
非日常の向こうにある日常を体感してみよう :-)
by waninogena2
| 2017-01-14 21:25
| 展示