熊谷峻さんの展示1
二十四節季の一つ「大寒」にあたる一月二十日、八丁堀にあるgallery『pragmata』さんで初日を迎えた「熊谷峻」さんの個展へ行ってきました。

ポカポカの室内に流れるゆるやかなinstrumental music、鼻をくすぐるシナモンのやわらかな匂いに包まれながら、作品を一つ一つ拝見させて頂きました。
七十二候では、蕗の薹が蕾を出すという意味の「款冬華 (ふきのはなさく)」にあたります。フラットで透明なガラスは冷たい印象ですが、熊谷峻さんのガラスは温かい印象で、どことなく土の匂いがするのです。
鋳物の技法から生まれた作品の表面は無数の凹凸がポコポコと手のひらに心地好く、陶土との融解から生まれるマチエールは白炭の表面に付いた消粉のようです。時折、ガラスの中にまで入り込んだ陶土が内に含んだ光を外に向けて鈍く放ちます。
鋳型に溶けたガラスを流し込み鉱物を落とします。底まで辿り着いた鉱物は、対流に乗って尾を引きながらガラスの中を染めていくのです。混ぜた珈琲の中に落としたミルクの変化を思い浮かべると近いのかも知れません。

富山の地で培った技術と精神は種子となり作家の中に落とされました。生まれ故郷の秋田に戻りうまく芽吹かせることが出来るでしょうか。作家の起こす新たな対流が種子の成長を促し、芽吹く子葉が素敵な色でありまりますように。
本葉がひらくのはもう少し先の未来のようです :-) タノシミ~
【Silica Somnii 熊谷峻 展】
場所 : pragmata
会期 : 1.20 fri. - 1.29 sun.
時間 : 12:00 - 19:00
最終日のみ12:00 - 18:00
展示期間中無休
by waninogena2
| 2017-01-21 13:34
| 展示