うきは市吉井町アート散策4 四月の魚 編
見知らぬ町の見知らぬベッドでみた夢もほんの数秒で忘れて、目覚めついでにトロトロの源泉でゆったりと。蓄積した乳酸のせいかなんだか全身がダルい。
四角い水辺
胸いっぱいの贈り物
店内2
原鶴温泉「ホテル伊藤園」で迎えた朝、眠い目を擦りながらいただいた地元食材を使ったシンプルな朝御飯。新鮮な食材はやっぱり美味しい。
ご好意で駅までの道程を車でプチ観光。「道の駅 原鶴バサロ」で新鮮な果実と山菜おこわを買い込み、古い町並みをブッブッブーと駆け抜ける。途中、オススメの『ぱんのもっか』さんで再び買い込み、心やさしいオーナーさんとここでお別れ。ホット珈琲を片手に、日差しが燦々と降り注ぐカフェテラスで澄んだ朝の空気を胸いっぱいに吸い込んだ。
店内に飾られた「関昌生」さんの可愛いワイヤーアートに目が留まる。オーナーさん「アートはよく分からんけどなんか良いね。」僕も思わずニッコリ。こんなやり取りが楽しい。
膨らんだスーツケースをゴロゴロと転がしながら、目的地に向かう途中の水路で見つけた名もなき石仏。移ろう時間の中で風と水と光にゆっくり砕かれ、顔も肢体も朧気で抽象的な姿が尚もうつくしい。
『MINOU BOOKS & CAFE』で半刻だけの読書会(世間では立ち読みと言う)、視界の中に「山口和宏」さんのチーズボードを挟みながら。
この旅の最終目的地、筑後吉井駅から徒歩圏内にある小さな一軒家のgallery『古道具 四月の魚』さんへ。
1930年代、とある医師によって趣味を兼ねて設計されたこの建物。高い天井は格子に組まれ、大きな採光窓はやわらかな光を手元に届けてくれます。
世界に散りばめられたくすみの中から微かに放つ光の原石を見つけ出す。子供のころ、公園の土を掘り、水を加えて、固めた泥団子。土を選び、捏ねる、磨く程に艶を増し、やがて妖しい光を放ち出す。生きていく中で意味のないモノにこんなに夢中になれるのは何故だろう。他人にとって意味はなくても、僕にとって意味のあることなのかも知れない。ゆるくて楽しい逸品探し。その眼差しは真剣そのもの。
時間を掛けてゆっくり選んだのは、芸術家「恩塚正二」さんの黒釉オブジェ(氏曰く、台皿)と、針金作家「関昌生」さんのワイヤーアート数点。
スーッと伸びてスッと曲がる、クルクルッと弧を描く、潔いまでのアウトラインが心地好い。重厚すぎない軽やかなこの感覚、独自解釈による面構成、本当に好き。
展示風景2
「真面目に遊ぶってきっとこうゆうことなんだ。」
軟らかさと硬さの同居するお二人の作品は観ていて心地好く、生活の中に小気味良いリズムと潤いを与えてくれる。
フェルト作家「関聡子」さんも交えて、あーだこーだと楽しくお話。「なるほど。このお二人だから作れる空間なのか。」フムフムと勝手に一人で納得。
お話ついでにちょっとした依頼も。はてさてどうなることやら :-)
電車の時刻も迫り、なにも悪いことしてないのに逃げるようにお店をあとにした。斜め向かいにあるMAKINO BLD 2Fの生活雑貨『reed』は流して見るだけでもう手一杯。小さな町を大きな歩幅で駆け抜けた。
車窓から流れるうきはの町並みを眺めながら、一欠片のパンを口に放り込んだ :-) オイシイ
追記
近年、のどかな田園風景の広がるこの町に多くの作家を始め、様々な分野の人が移り住んでいます。出会う人、出会う人、誰もがやさしく朗らかで温もりに溢れています。「なにもないは、なにかある。」アート発信地としてももっと面白くなりそうです。
by waninogena2
| 2017-02-27 13:23
| 旅行と散歩