甲賀+伊賀のアートな旅路2―1 宿場町の木工家 編
紙の上を筆で引いたようにスッと伸びてゆく東海道、紗が掛かりやわらかな光に包まれた山々、薄水色の絵の具と混ざり合う灰色の空。昨日とは打って変わり足回りが軽くなったターボエンジン未搭載レンタカー。「さあ、往こう。お前が頼りだ Blue PASSO 」
2月2日、甲賀市土山で制作されている木工家の工房へ。道に迷うことなく目的地へ到着。恥ずかしながらこの旅で知ったのですが、土山も朝宮と同じく茶所の一つ。宿場町でもある町並みは素朴で風情ある赴き。ゆっくりと歩いてみたい場所がまた一つ。
挨拶を交わしてすぐ居間へと通される。キューブのような四角い空間に置かれた簡素なローテーブルと三脚の小椅子。木目のうつくしい板張り天井から垂れた吊り電球に素朴な木工ランプシェード。視線を落とすと整然と並べられた急須や汲み出し、菓子皿など小さな茶会道具一式。前方に視線を上げると漆喰の下塗り材のくすみの中に、植松永次さんの花入れが一つ掛けられている。どうやら僕たちは、森閑たる感性の園へと呼び込まれてしまったようだ。
フランスのフレーバーティーとpatisserie miaの焼菓子で口を遊ばせながらも次第に熱を帯びてゆく三つ巴トーク。何処で気が緩んだのか脱線話を繰り返す僕。始末に負えないとは正にこのこと。
木屑の香りで満たされた工房に差し込んだ静かな光。奥でふわっと浮かび上がる家具制作用の機械たち。見ればその人の技量が分かるとまで言われるうつくしい道具たち。全てはこの場所から生まれてくる。大人トークを交わす僕らの傍らで、かわいいアーティストの卵が無邪気に木屑と戯れていた。
「秋に東京で再会しましょう。」と言葉を残して別れを告げた。僕たちが見えなくなるまで手を振ってくれた作家とその家族に感謝。
次の目的地に向かう前に立ち寄った『道の駅 あいの土山』。モチモチの黒米うどんとサクサクの八穀おこげがセットになった黒影米うどんに舌鼓。
歌川広重 「東海道五十三次 關」
さあ、東海道五十三次49番目の宿場町・土山宿の次に向かうのは、47番目の宿場町・関宿。甲賀から伊賀へと続く忍びの里アートドライブ :-)ニンニン
by waninogena2
| 2018-02-09 18:32
| 旅行と散歩