部屋の記憶 2018.4.20
フロントガラスを叩く雨、四方を取り囲む淀みの空を見渡してはみるものの一寸の明るみもなく、自然の織り成す灰色のトンネルを突き進んだ。

1年ぶりに訪れた益子の地は何処か懐かしく、きゅっと上がる口角に自らの気持ちを重ねた。移ろう時間の中でやがて薄光を含んだ青灰の空へと融けてゆく。二人の作家と参考館。見つけた温もりそのままに僕たちは帰路についた。
4月20日晴天、雨漏りで傷んだ天井板を剥がすと眠っていた屋根裏が目を覚ました。光の届かなかった空間に季節を忘れた初夏の空気がどっと流れ込む。それも束の間、天井高く舞い上がった新鮮な空気は、屋根裏空間とともに蓋をされて眠りについた。

ちいさな和の箱に手を加えて、少しばかりの洋の薫りを重ねるようにつけていく。重ねては剥がす、剥がしては重ねる。あと幾度繰り返したら思う形になるのだろう。
都内の何処かにある古惚けたこの部屋は、日向の中に落ちているちいさな木陰のような西洋骨董のお店へと変貌していきます。
by waninogena2
| 2018-04-21 09:43
| 展示