梶原靖元さんのうつわ3
空気の端から端までが見事なまでに澄んでいる。ひんやりした風が身を包み込み夏の日の涼に浸っている。よもやエアコンの要らない夏の日が訪れようとは。

無地刷毛目輪花皿 W137 H35
李朝と桃山陶の交わる一瞬の煌めきの中にある古唐津の世界。古唐津研究家にして現代唐津の旗手でもある梶原靖元さんの最新作。まだ実験段階でもあるこちらの作品は、花弁が窯圧で平皿と見紛うばかりに開いてしまい安定した数が取れないのだそう。
唐津によく見られる割山椒向付の空気を彷彿とさせながら、花弁の切れ込みや開き具合、リム皿のようにスッと落ちた見込みなど見所も多い。灰色の胎土に大らかな刷毛目をざっくり入れて生み出されたコントラストが心地好い。鹿の背模様のように浮き出た点々も表情に奥行きを与えている。
【割山椒向付】
山椒の実が枝から落ちてはじけた殻の形を模した小鉢。丸いお碗の三ヶ所に深い切り込みを入れてあり立体的で動きのある器。単調になりがちな食卓に華やかさを添えて変化を付けてくれる。

古唐津の世界に新たな説を提唱し常に風を送り込んでいる。従来の陶土ではなく、砂岩を砕き精製された胎土。穴窯で一気呵成に焼き上げることで、通常の陶土にはないカリッとした清廉された仕上がりとなる。古唐津を写すのではなく、往時の環境を再現し新たな古唐津として生み出すその手から片時たりとも目が離せない。


古典に親しみながらも快活で風雅なその瞳には何が映っているのだろう :-) キニナル
by waninogena2
| 2018-08-07 14:16
| うつわ