野口悦士さんのうつわ3
すっかり秋めいてきたと喜んでいたのも束の間、再び夏が戻ってきた。どうやらまだ残暑というものがいたらしい。ドアを閉め切り電球の下で雑務の山と向き合う。そんな姿を知ってか知らずか道往く人がガラス越しにじーっと覗き込んでくる。オープン前に汗して磨いたガラスに皮脂をたっぷり残して。
1999年、21世紀の一歩手前、陶芸を志し、種子島に渡る。唐津を代表する陶芸家・中里隆氏に師事し現在に到る。
あたかも平原を舞う鳥の翼のように、軽やかで躍動的な轆轤。枠に嵌まらない釉調。焼〆の白化粧は、カラカラに渇いた湖面のように溢した傍から水が滲みてゆく。儚さを含んだ仮面の下に息づく雄大な古の大地。その作風はまさに自由奔放だ。奇才・中里隆氏の豪放磊落な気風を他の誰よりも受け継いでいるように思えてならない。
静けさと躍動感、原始と文明。相反する幾つもの要素が1つの器に内在する。土と炎と風と。うつくしき造形に魅了されて止まない。
目の前に積まれた未整理の紙の山、朝と比べて低くなるどころか高くなってしまった :-( ヤレヤレ
by waninogena2
| 2018-08-21 16:48
| うつわ