鶴野啓司さんのうつわ 2018.09.18 其の参
なんだか眠気の止まない一日。色々と考えていても、考えているつもりで何も考えていない。ぽわーっとした薄桃色の綿毛が頭の中をふわふわと浮遊している。へんてこな思考回路は止むことを知らず、口から出てくる言の葉はちっとも形を成さない。自分でも理解に苦しむ程に。手のひらにまるい碗を一つ乗せて、コロコロと転がしながら時間が経つのを只々楽しんでいた。
白化粧汲出 sold out
益子土碗
刷毛目碗 sold out
益子の鶴野啓司さんの茶器5種です。
この文章を綴っているタイミングで、昭和を代表する陶芸家・荒川豊蔵さんの遠縁の方が入って来られました。
粉引汲出
なにもお話することなく幾つか手に取られたもの全て彼の器でした。この方のことは存じ上げないけど素敵なもの作ってらっしゃるのね。とお誉めの言葉を頂きました。
荒川豊蔵と言えば、北大路魯山人と星岡茶寮を思い起こされる人も多いのではないでしょうか。若き日に魯山人の片腕となりプロデューサー的な役割を担い、研鑽を積んでやがては人間国宝へと登り詰めたのです。
実際に魯山人に会い荒川豊蔵の器を愛でてきた方に誉めて頂くと、自分が誉められている訳でもないのになんだか照れ臭くなってしまいました。
W76 D76 H53
W82 D80 H55
W83 D87 H58
W108 D101 H58
W103 D106 H67
鶴野啓司さんの器には、端が切れたり弾けたりしているものも多くあります。素材のちいさな声にそっと耳を傾け、逆らうことなく成りたい形、成りたい色へと導いています。
無精製の原土を用い、粒子の粗細や含有物によって生まれる自然な造形、炎と風によって引き出される表情こそ彼の魅力なのでしょう。
現在、箒星には約50点の作品がそれぞれに放つ芳醇な薫りに包まれています。どれ一つとして同じものはなく、唯一無二のものとして此所に在ります。時は来たれり :-)
by waninogena2
| 2018-10-01 19:03
| うつわ