煎茶と花 - 後記 -
煎茶と花-九人展-は、6月16日(日)を以て無事に会期を終えました。見聞きしたこと体験したことは移ろいながらも確かな習慣へと。この感覚はこの先何処へ繋がっていくのでしょうか。
本展は、日本人にとって最も馴染みのあるお茶の1つ、煎茶を主題とした座辺の中にある大切なモノを探す企画でした。

身近なものであるにも関わらず、難しく捉えられて時には敬遠すらされているようにも感じていました。明確な答えは出せていませんが、事実は違っているのかも知れません。

煎茶道は、中国明代の文人趣味に始まり、江戸初期に日本に伝えられました。黄檗宗の僧でもあった売茶翁によって方向づけされ、形骸化していた茶道に辟易していた文人墨客たちの間に広まりました。精神の世界であり風雅な世界でもあるのですが、一般への普及に伴って形式化されてきたのも事実です。
草花を愛でながら只々煎茶に親しみたい。ゆるりと流れる時間の中になんとなく身を委ねていたい。そんな想いから、本展では形式的なモノから解放された感覚的なモノとしての造形を九人の作家に依頼しました。苦労を重ねた先に生まれてきたモノは、僕の心を芯から鷲掴みにしてくれたのです。
北大路魯山人の言葉に「坐辺師友」というものがあります。
優れた人・モノに囲まれて生活しているとその心をおのずと学びとることができる。
優れた人・モノに囲まれて生活しているとその心をおのずと学びとることができる。
生活の中の道具は自分と一体化し自分の空気でなければならない。
自分の周りのすべてが師であり、友である。
自分の周りのすべてが師であり、友である。
そんな想いを知ってか知らずか、お客様は1つ1つに触れながら眺めながら感覚で選ばれていたのがとても印象的でした。既にお持ち帰り頂いたモノをゆるりと愉しまれている方もいらっしゃることでしょう。その1つ1つを思い思いに見立ててふとした瞬間に使って下されば幸いです。
この場を借りて皆様に御礼申し上げます。ありがとうございました。
煎茶と花 -九人展-
会 期:2019年6月8日(土) - 6月16日(日)
大村剛 (福岡県うきは市)
小野陽介 (栃木県益子町)
岸田匡啓 (佐賀県唐津市)
黒畑日佐代(福岡県うきは市)
白岩大佑 (北海道函館市)
鈴木美雲 (山形県山県市)
橋爪香代 (福岡県八女市)
丸田宗一廊(佐賀県武雄市)
吉田崇昭 (福岡県筑紫野市)
画 内野隆文(サラリーマン画家)
WS 小幡一樹(日本茶インストラクター)
小野陽介 (栃木県益子町)
岸田匡啓 (佐賀県唐津市)
黒畑日佐代(福岡県うきは市)
白岩大佑 (北海道函館市)
鈴木美雲 (山形県山県市)
橋爪香代 (福岡県八女市)
丸田宗一廊(佐賀県武雄市)
吉田崇昭 (福岡県筑紫野市)
画 内野隆文(サラリーマン画家)
WS 小幡一樹(日本茶インストラクター)
やわらかな野の花を一輪
朝露に濡れたしずかな窓辺に腰掛けて
水屋に並んだ茶壺から今の気分を取り出してたっぷりの湯を注ぐ
たのしく おいしく ここちよく
水屋に並んだ茶壺から今の気分を取り出してたっぷりの湯を注ぐ
たのしく おいしく ここちよく
心をほどく野の花と淹れたての芳醇な新茶
甘露のようなひとときにふわりと笑みがこぼれてゆく
九人の作家による手仕事の煎茶の道具
くつろぎの形が此処にある
【黒畑日佐代's】
本展を象徴するような感覚的な造形の汲み出しと茶托
by waninogena2
| 2019-06-28 23:42
| 展示