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小野哲平さんの展示1

四月二十二日、うつわノートで開催されている小野哲平さんの「塊は魂」展に。生活工芸と称される現代陶芸の創成期から活躍するが故に、様々なイメージが付随する氏の制作を良くも悪くも一から見つめ直せる大きな意味を持つ個展。

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掲示板

素朴で真っ直ぐな轆轤から生まれる用の美の中に、高い造形性をも含ませることで知られる氏の作品。そんな氏が正面から立ち向かったのが、器にとって大切な用を切り離した塊と言う名の抽象的造形物。

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展示風景1

「器を作ることも塊を作ることも、僕にとっては同じ作業なんです。」最後までオブジェと称さなかったことに強い意思の現れを感じた。

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展示風景2

昨今、有象無象に現れては消えてゆく類似表現の中で、本物が薄まりつつある感の現代陶芸。大きな眼を正面に見据えてゆっくり話す姿はとても若々しくて頼もしくもあった。

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イメージ

三つの側面があり僕の中で記念碑的な作品として持ち帰った。

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展示風景3

・焼成後にグラインドで削り出された表面は、微かに従来の仕事の痕跡を残しつつも無機質かつ人工的な静けさを漂わせる。バウハウスを思い起こさせる造形表現。

・手と炎によって形成された裏面は、従来の仕事の痕跡を押し出した有機質かつ素材の持つ圧倒的な熱量を漂わせる。

・表裏の狭間に存在する境界は、模索し葛藤したであろう時間の痕跡が新たな表現として静かな熱量を漂わせる。自信と不安が融合する形として現れているようにも。

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展示風景4

此度の制作を機に新たな造形物の表現へと突き進むのだろうか、融合させて更なる陶の高みへと器を昇華させるのだろうか。

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展示風景5

「ぼくもまだまだわからないことがいっぱいです。でも、最後まで強い気持ちを持って作り続けたいです。」

シンプルな言葉の中に込めた熱量に心を打たれます。小野哲平さんの動向から目が離せません。

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展示風景6

ベルエポックは終焉を迎えつつあり、新たな混沌とした時代の幕開けへ :-) ヒハマタノボル


【 小野哲平展 「塊」は「魂」 】
会場 うつわノート
会期 2017年4月22日(土) ~ 30日(日) 会期中無休
営業時間 11時 ~ 18時
作家在廊日 4月22日(土)








by waninogena2 | 2017-04-26 23:41 | 展示 | Comments(0)

益子の雲の中へ3 いつか見上げた空に 編

ヒラヒラと散り、うつくしい緑が開くこの季節。一雨ごとに灰色のベールが剥がされて、雲が白く切れてゆく。東西南北に散らばる点と点を結び続けた二泊三日の益子の旅もいよいよ佳境を迎える。

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旅の記録1

四月一日、益子の中心部を離れた山間部にあるgallery『もえぎ 本店』さんに向かう途中、偶然見つけた「大倉神社」と「綱神社」で旅の祈願も兼ねて朝の素敵な時間を楽しんだ。手入れの行き届いた社は、小さいながらも荘厳な空気に包まれている。「また来ます。」と一言残して。

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大倉神社と綱神社

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綱神社
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大倉神社

樹々に囲まれた自然の中に建つ二棟。それぞれに違う顔を持つ展示スペースとロッジ側に併設されたカフェ。この土地のこの場所だからこそ出来ることがある。

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もえぎ本店1
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もえぎ本店2

昨年オープンした『道の駅ましこ』に立ち寄り、美味しい焼きカレーと珈琲で一息。また来よう。

益子で最後に訪れた作家さんの工房で、大きな雲海に包まれた二時間。陽は留まることなく刻々と傾きを増す。

【ゼーゲルコーン】
目的温度の付近でやわらかくなる数本のコーンを炉内に立てて、頂部が台につくまで曲がったものの番号である程度の温度を知ることが出来る。正確な温度測定というより、炉内の焼成効果の程度を知るのが目的で、窯業でよく使われる。

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ゼーゲルコーン

閉店間際に到着したつくば市内にあるgallery『manufact jam 』さんで、店主である「古橋真理子」さんと楽しくお話をしながらの器選び。旦那様は木工家の「古橋治人」さん。益子は言うに及ばず、各地の作家から選りすぐられた逸品が揃う。ドキドキとワクワクが止まらない。

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manufact jam

この旅で持ち帰った器たち、新旧交えた四人の作家の計七点。

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旅の記録2

差し込んだ細く長い一本の光を手繰り寄せることから始まった今回の旅。空に浮かんだ薄い灰色のベールは緑の風に吹かれた。広がる空から差し込む幾筋もの光を手繰り寄せて何処へと向かうのだろう。僕たちの旅はまだ始まったばかり :-) ヨーイドン








by waninogena2 | 2017-04-24 14:58 | 旅行と散歩 | Comments(0)

益子の雲の中へ2 フィールドワーク 編

薄墨を混ぜた空から落ちてくる温い水滴、これでもかとばかりに僕の中の何かをスローステップで誘い出してくる。桜流しの雨の粒が益子の記憶と目に映っていたものを少しずつ滲ませて薄めようとしてるのだろうか。無色透明になる前に書き留めておこう。

三月三十一日、確かに僕たちは益子の雲の中にいた。
感覚だけに頼って生きてきたことを僅かばかり反省して、眠い目を擦りながら『益子陶芸美術館』へと歩を進めた。

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企画展看板

大人入館料600円。退館後は脳が蕩けてしまい思考力ゼロ状態に。自らのあまりの不学さに暫し唖然とする。素人感覚も楽しいけれど、もっと深みに嵌まりたい。

本当に素敵なタイミングで、「コレクションでたどる 益子の近現代陶芸」も開催されていた。基礎陶芸史と益子の流れを掴むのにはもってこいの企画展。濃密な120分、視界が3㎝くらいうっすらと開けた気がした。

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益子陶芸美術館入口

今回の展示で気になった四人の作家。
「ノラ・ブライデン Nora Breyden」
「長倉翠子 Nagakura Suiko」
「廣崎裕哉 Hirosaki Hiroya」
「島岡達三 Shimaoka Tatsuzo」

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益子陶芸美術館本館

現代作家のうつわのgallery『もえぎ城内坂店』さんと、益子や周辺地域の作家のうつわのgallery『陶庫』さん。ここは益子の今が見てとれる場所でもある。

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もえぎ城内坂店

日本各地で探し求めた古家具と雑貨を良心的な価格で紹介するgallery『仁平古家具店 真岡店』さん。この辺りの区画は面白そうな店が点在している。

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仁平古家具店 真岡店

明治から大正、昭和へと繋がる日本のうつくしい古家具、益子を中心とした作家のうつわ、日本人の手仕事を再認識させてくれるgallery『ペジテ』さん。建物自体が既にうつくしい。

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ペジテ看板
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ペジテ1
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ペジテ2

小さな店内にこだわりの古家具が所狭しと並ぶgallery『仁平古家具店 益子店』さん。隈無く探すと掘り出し物が見つかるかも。

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仁平古家具店 益子店

言わずと知れたやさしいライフスタイルを丸ごと紹介するgallery『スターネット本店』さん。ここから益子の新たな歴史が始まる。

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スターネット看板
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スターネット1
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スターネット2

特色ある各店舗を繋いでみると小さかった点から一本の線へと昇華した二日目。息つく暇もなく飛び込んで来る情報量に僕の脳内疲弊は頂点に :-O ヘルプミー








by waninogena2 | 2017-04-17 10:22 | 旅行と散歩 | Comments(0)

益子の雲の中へ1 小野陽介さんの陶工房 編

空に浮かぶ皺一つない薄い灰色のベールの隙間から、差し込んだ細く長い光を手繰り寄せるようにエクリュのスーツケースを片手に旅に出た。春の陽気に誘われて膨らみだした花の蕾がいじらしく、眺めていると今にもポポンと弾けそう。

三月三十日、蕾の綻び始めた益子の郷へ二泊三日の陶の旅へ。

始まりは、予てよりお約束していた小野陽介さんの陶工房を訪ねるところから。

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イメージ

長閑な風景に溶け込んだ丘にポツンと立つ名入の小さなポスト。地潜の蛇のように細く長く連なる急斜面の道をエンジンを噴かせて上りきると、風情ある日本家屋と寄り添うように立つ陶工房が見えてくる。散在する陶土の塊、釉薬のバケツ、廃材の木片から、いよいよ陶芸家に会うのだと肌で感じた。

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小野陽介さんと窯場付近

小野陽介さんは陶芸に取り組んで五年目の今後が期待される益子の若手陶芸家です。伸びやかな轆轤と薪窯の窯変が素敵な作品を生み出しています。シンプルで素朴な形、ぬくもり溢れる結晶釉の美しさが目を見張ります。

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作品1
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作品2

奇をてらわないシンプルな形は、単純だからこそ誤魔化しの利かない難しさが含まれています。昨今、表層の加工に捕らわれ過ぎて形骸化した軽い作品が増えているのも事実です。シンプルな表層を求めるルーティンワークは、やがて深層を究めるスポットワークへと繋がることでしょう。

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作業場の風景
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作業場の窓から
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焼成前1
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焼成前2

後に知ったのですが、父である小野正穂さんは陶芸家、母である優子さんは画家と言う芸術一家なのです。帰り際にお会いしたお二人は、初対面とは思えない程に屈託のない笑顔を見せてくれました。

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小野正穂さんの陶のシーサー

陽介さんのご案内で訪れた窯場は、背筋が伸びるようなテンションと物が生まれるクリエイティブな感覚に満ち溢れた魔法の空間でした。先の震災による窯場被害の余韻が今も。。

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小野正穂さんの連房式登り窯
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小野陽介さんの窖窯
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作品3
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窖窯の煙突

登りきった場所にある土地を切り拓いて、いずれ専用の陶工房にする計画があるそうです。この場所から、しなやかに両の腕を広げてまだ見ぬ世界へと羽ばたいてゆくのかも知れません。

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あくまでも予定地

「今の課題は、単式の窖窯と結晶釉をコントロールすることです。時期が来たら、連房式登り窯や自然釉にも挑戦したいです。もしかすると、父の仕事を辿っているかも知れませんね。」

不器用ながらも言葉を一つ一つ丁寧に選び、少し照れながらも真っ直ぐに夢を語ってくれた姿が印象的でした。
微力ながら応援します。エイエイオゥ

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愛犬ノア1
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愛犬ノア2

この旅の宿「フォレストイン益子」では、扉を開けた瞬間からピョンピョン飛ぶ小さな虫が女将の代わりとばかりに出迎えてくれたのでした。一匹ずつふんわりと交互に手に取って部屋の外へと逃がしてあげました。

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フォレストイン益子
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内回廊
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外回廊

明日は、感覚だけを頼りにしてきた自分から一皮剥ける為に、益子の町で色々と勉強して来まーす :-) ムムム








by waninogena2 | 2017-04-07 15:09 | 旅行と散歩 | Comments(0)


文京区千駄木にある現代作家のうつわのギャラリー 箒星+g のブログ。目に、手のひらに、そして気持ちに。日々の生活の中にある心地好いモノ達。


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